2005年6月15日(水)15:22

EU憲法批准の一時休止を求める声が高まる

ブリュッセル(AP)

EU憲法批准問題では批准手続きの一時休止を求める声がいよいよ高まりつつある。EU首脳会議を翌日に控えた水曜日、欧州委員会のジョゼ・マニュエル・バローゾ委員長も批准手続きの一時中止を主張した。「一番良いのは今の段階でひと休みして良く考えることだ」。「これが憲法を救う最善の方法だ」。現在の問題を解決する名案はない。それゆえEUは慎重に進めねばならない、とバローゾ委員長はブリュッセルで語った。

EU各国首脳は木曜日の首脳会議で、フランスとオランダの国民投票否決後、どのように批准手続きを続行すべきかを決定する意向である。バローゾ委員長は極論に走らぬよう戒めた。憲法は死文化したと宣言することも許されないが、一方でEUは何事もなかったかのように振舞うことも許されない。首脳会議はこの二つの立場の間で解決策を見出す必要がある、と委員長は主張した。

「私たちはこの憲法にチャンスを与える方策を見出さねばならない」。フランスとオランダ両国民の否決も、すでに憲法を批准した10ヶ国の意向も同じように考慮する必要があるのだ。EUはこのジレンマから抜け出す道を模索する時間が必要なのだ、とバローゾ委員長は述べた。欧州議会の欧州国民党(EVP)も先週、休止期間を設けるよう主張している。この提案の背景には、近い将来に行われる各国の国民投票がある。

ルクセンブルクは7月10日に、またデンマークは9月にEU憲法国民投票を実施する意向である。ルクセンブルクのジャンクロード・ユンカー首相は否決の場合退陣する意向を表明している。デンマーク政府はすでにイギリス同様、国民投票を取りやめ、延期する可能性を示唆している。EUではフランスとオランダの否決がドミノ現象を呼ぶ恐れがあると懸念している。

フランスのジャック・シラク大統領は批准手続きを継続するよう主張した。憲法条約は加盟25ヶ国で交渉されたものであり、「この25ヶ国は憲法の将来についても決定せねばならない」、と大統領はパリで語った。ドイツ政府も批准手続きの継続に賛成しているが、決定はまずは各国政府の判断に委ねられるとしている。首脳会議は(明日)木曜日の晩、憲法問題を協議し、声明を発表する意向である。

EU筋によれば、EU議長は差し当たり協議の叩き台となる提案は行わないという。バローゾ委員長はEUが基本的な問題について回答する必要があると勧告している。たとえばEUの社会モデルであり、将来のEUの境界といった問題である。「こうした議論はブリュッセルのEUだけでなく、ヨーロッパ全体、全加盟国で行われねばならない」。これには時間がかかる。しかしトルコとの加盟交渉の開始のような決定事項を疑問視してはならない、とバローゾ委員長は語った。

水曜日に発表された欧州委員会の世論調査によれば、フランスとオランダのEU憲法反対者の過半数はEUに反対したのではなく、むしろそれぞれの国の政府に対する反対であり、経済状況に対する不安の表明であるという。欧州委員会のマルゴット・ヴァルストレーム副委員長は、反対の動機はきわめて多種多様であったと述べた。

原題:Rufe nach Denkpause in Verfassungskrise lauter




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